- バターの歴史は?
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バターらしきものは、紀元前3500年頃にはすでに作られていたようです。メソポタミアのレリーフには、牛乳を搾ってバターと思われるものを作っている人々の姿が描かれています。インドでも紀元前2000年頃、バターらしきものが作られていたという記録がみられます。紀元前1500年頃のものとされる旧約聖書にも、「かくてアブラハムは発酵乳を取り、乳を取り・・・」(創世記18章8節)という記述があります。古代ギリシャやローマでは、バターは食糧としてよりも、医薬品や化粧品として用いられたようです。
食用としての利用は、紀元前60年頃、ポルトガルが最初といわれています。その後フランスなどヨーロッパ全体に広まっていきました。
- バターはいつどのように日本に伝わったの?
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飛鳥時代
乳製品は、インド、中国を経て聖徳太子が活躍した、飛鳥時代(592〜710)に日本に伝わったと言われています。チーズやバターのような蘇(そ)や醍醐(だいご)と呼ばれる乳製品が作られました。醍醐は、最高に美味しい味という意味の仏教用語で、醍醐味(だいごみ)と言われ、現在も味わい深いことを意味する言葉として使われています。
蘇は現在のチーズの作り方とは異なり、牛乳を煮詰めて作りました。 天皇に献上するために作られていましたが、朝廷の勢力が衰え、武士が台頭するようになると、軍馬の生産に力が注がれるようになりました。その結果、乳製品もだんだんと作られなくなってしまいました。
大化の改新(645)の頃、百済から来た智聡(ちそう)が持ってきた医薬書の中に、牛乳の薬効や乳業の飼育法の記述があります。これによって、日本人は搾乳や牛乳について知るようになりました。
江戸時代
八代将軍徳川吉宗(暴れん坊将軍)は、インドから白牛3頭を輸入し、千葉県安房郡で、白牛酪(はくぎゅうらく)という乳製品を作らせ、壮剤や解熱剤として用いましたが、一般大衆にまで普及することはありませんでした。
白牛酪は、牛乳を煮詰めて乾燥させ、団子状に丸めたもので、バターという説もありますが、よりチーズに近いものとも言われています。
明治時代
バターが本格的に食べられるようになったのは、明治時代に入ってからのことです。明治政府は、日本人の体格向上のため畜産を奨励し、牛乳やチーズ、バターなどの栄養価値を宣伝しました。当時の人々は、西洋風のものを「バタ臭い」などといっていたほどです。
昭和
昭和30年頃から始まった高度成長時期には、乳牛の飼育頭数も増え続け、消費が拡大して大量に普及するようになりました。
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- 聖徳太子もバターを食べていた?
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答えを知りたい方は、帯広畜産大学の「醍醐」の復元・賞味レポートをご覧下さい。
「醍醐」は牛乳から作る幻の滋養薬。朝廷に献上される貴重な滋養薬でした。従来言われていたヨーグルトのようなものではなく、バターオイルのようなものであったことが判明しました。
「バター、チーズ、またはコンデンスミルクのようでありがなが現代の乳製品のいずれとも異なる複雑な味わい」だそうです。ビタミンAやEが豊富で、古代でも長寿の効用を求めて珍重されたであろうことが、推察されます。
- バターとは?
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バターは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令によると、「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」かつ「乳脂肪分80.0%以上、水分17.0%以下」と定められています。
乳脂肪をかき回すと、乳脂肪を包んでいるたんぱく質の膜が破れ、中の脂肪だけが集まります。この脂肪を練り上げるとバターになります。
ちなみに、バターを1箱(200g)作るのに、約4.4Lもの牛乳を必要とするといわれています。
- 生クリームがバターになる原理の簡単な説明は?
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生クリームの中には脂肪が入っています。この脂肪は、脂肪球と呼ばれ、丸い形をしています。たんぱく質の薄い膜に包まれ、水中に浮かんでいます。振って振動を与えると、脂肪を包んでいた膜が破れて、脂肪が水分中に出てきます。水と脂肪は反発する性質があるので、振り続けると、出てきた脂肪同士が集まって互いにくっつこうとします。隣り合う脂肪球同士が結合することで、空気を抱え込み、ホイップクリームの状態になります。さらに振り続けると、水分が離れて脂肪と脂肪がさらにくっついていき、大きな塊となります。この脂肪分のかたまりがバターです。
- 牛乳が白く見えるのは?
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牛乳や生クリームが白いのは、乳脂肪やたんぱく質に光が反射するからです。
牛乳の中には、カゼインというたんぱく質が水に溶けず、ミネラルと結合して微粒子となって浮遊しています。これに光が乱反射して白く見えます。一方、乳脂肪は黄色みがかっていますが、たんぱく質の膜で包まれているため、外からは見えません。粒状では水に溶けないので、こちらも光を乱反射させるため、白く見えます。
- バターが黄色く見えるのは?
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バターを作る過程で、脂肪球を覆っているたんぱく質の膜が壊れて、乳脂肪本来の黄色みがかった色が出てくるためです。
バターの黄色は、ビタミンAのカロテンの色です。もともとは牛が食べる牧草に含まれています。カロテンを多く含む夏の青草を食べた牛のバターは、黄色が濃くなり、冬場の干し草を食べた牛のバターの黄色は淡くなります。
- バターの種類・分類は?
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バターは製造方法によって4種類に分類されます。
食塩の添加に有無により、有塩バターと無塩バターに分類されます。
●有塩(加塩)バター
バターを練る工程で、1.5%前後の食塩が加えられたもの。風味がよくなり、保存性も高くなる。
●食塩不使用(無塩)バター
食塩を加えないで作られたもの。主に製菓用、調理用に利用される。食塩が入ってないので、有塩バターに比べると、保存期間は短くなる。
※食塩不使用バターは、かつては無塩バターと言っていましたが、無塩で製造しても生乳に由来する塩分が微量含まれることから、厚生労働省の栄養表示基準により、無塩という言葉が使えなくなりました。
さらに、原料のクリームの乳酸発酵の有無によって発酵バターと非発酵バターに分けられます。
●発酵バター
原料となるクリームを乳酸菌で発酵させて作ったバターで、独特の香りがあるが、保存性が良くない。古来のバターは皆この発酵バター。ヨーロッパでバターといえば、ほとんどのこのタイプ。
●非発酵バター
乳酸発酵させないクリームを使用して作る。風味がよく保存性がある。日本で市販されているバターは、非発酵バターが大半を占めます。
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- どんな生クリームを使ったらいいの?
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使用する生クリームは、動物性で脂肪分40%以上の高脂肪なものを使いましょう。脂肪分と水分が分離しやすいので、撹拌する時間が短くて済みます。さらにできあがるバターの量も多くなります。
乳化剤の入ってないもの
乳化剤を使っていない生クリーム(純乳脂肪)を使いましょう。乳化剤は、混ざりにくい水と油を混ざりやすくする界面活性剤のことです。そのため、クリームの分離が起こりにくく、バター作りには適しません。できないわけではありませんが、かなりの時間がかかります。
- バターを作る時の注意点は?
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- 必ず動物性を使う。
- 乳脂肪分40%以上のものを使う。
- 乳化剤の入ってないものを使う。
- 作る前にしっかりと生クリームを冷蔵庫で冷やす。
- 振ってもバターにならない牛乳があるの?
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ホモジナイズ
スーパーで売ってる牛乳は、いくら振ってもバターは作れません。ホモジナイズ(均質化)をしているからです。搾りたての牛乳は、雑菌も含まれているため、工場で高温殺菌をします。同時にホモジナイズ(均質化)処理も行います。流通の間に品質が変わらないように、牛乳に圧力をかけて脂肪球を細かく砕き、牛乳の成分を均質化する処理です。バターを作るには、ノンホモ&低温殺菌牛乳を選びましょう。
ノンホモジナイズ
ホモジナイズをしていないことをノンホモジナイズ(ノンホモ)と言います。ノンホモジナイズ(ノンホモ)牛乳は、乳脂肪が大きいままのため、バターができやすい状態にあります。置いておくと上部に脂肪分が浮き、クリームラインと呼ばれる天然の生クリームの層ができます。飲む時はやさしく振って、クリームを分散させてから飲みます。
- 手作りバターの保存期間・保存方法は?
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保存期間は冷蔵庫で2〜3日です。冷凍保存すれば、1か月程度保存できます。酸化しないように、小分けしてラップに包んでから冷凍しましょう。
手作りバターは、市販のバターのように酸化防止剤や食塩添加がなく、水分も多く含まれているため賞味期限が短くなります。
- バターを練る理由は?
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バターに残っているわずかな水分やクリーム分を排出できるので、バターのコクがさらに増します。
- バターを水で洗うの?
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バターミルクを洗い流すことにより、より質の良いバターが出来ます。日持ちがよくなったり、発酵バターであれば、乳酸菌の酸味を取り除くこともできます。
バターの洗い方
- 氷水にバターの固まりを移し、フォークを使って、水の中でバターを練る。
- バターミルクが出てきて水が白く濁るので、水を替えながら数回行う。
- 水が濁らなくなったら水を切って皿に移し、さらに練って、余分な水を出す。
- ハーブバターの作り方は?
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爽やかなハーブの香りを、バターに練り込みましょう。料理の美味しさがアップします。
- バターは室温に戻して柔らかくする。
- ハーブは細かいみじん切りにする。
- クッキングペーパーにくるんで、軽く水気を絞る。
- バターにハーブを加えてよく混ぜる。
- 棒状に形作り、ラップに包んで冷凍保存。(使う分だけナイフで切って使う)
お好みのハーブを数種類ブレンドしたり、おろしにんにくなどを混ぜてもOK。市販のバターでハーブバターを作る場合は、冷蔵庫で1週間保存可能。冷凍すれば1か月保存できます。
- ハーブバター作りのポイントは?
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- ローズマリーやタイムなど香りの強い物は入れ過ぎない。
- ドライハーブは、香りが凝縮されているので、生のハーブより量を少なめにする。
- イタリアンパセリやチャービル、ディルなど茎や葉が柔らかいハーブは、粗めのみじん切でも大丈夫ですが、タイムやローズマリーのように茎や葉が固いハーブは、葉だけを細かく刻んで使いましょう。
- 料理別に合うハーブバターは?
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肉料理
セージ、タイム、オレガノ、パセリ、ローズマリー、ローレルなど。
魚料理
ディル、タイム、パセリ、フェンネル、レモンタイム、レモンの皮など。
卵料理
バコリアンダー、チャービル(セルフィーユ)、チャイブ、ディル、バジル、パセリなど。
野菜料理
タイム、チャイブ、ディル、バジル、パセリなど。
- バターの栄養は?
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バターの成分の80%以上は乳脂肪ですが、とても良質で消化が良く、効率的にエネルギーに変えることができます。ビタミンAを多く含んでいるのも特徴です。
ビタミンA
バターにはビタミンAが豊富に含まれています。視力の低下予防、皮膚や粘膜の健康維持、免疫力の強化に効果があります。ビタミンAは、腸で免疫細胞を活性化してウイルスの侵入を防いでくれます。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助けたり、免疫力をアップさせるビタミンDも含まれています。
ビタミンE
抗酸化作用が強く、細胞の老化予防に効果のあるビタミンEも含みます。ビタミンEは血行も促進して、肩凝りや冷え性予防も期待できます。
ビタミンK
出血時の止血作用のあるビタミンKも含みます。ビタミンKは骨の代謝にも関係し、 骨粗鬆症の予防にも効果があります。
ミネラル
ナトリウム、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも含みます。
乳酸菌
発酵バターには乳酸菌が豊富に含まれているため、腸内環境を整えてくれます。
- バターのコレステロールが気になる?
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バターというと、コレステロールが気になります。コレステロールは悪者と思われがちですが、細胞膜、胆汁酸、性ホルモンの材料になるなどの重要な働きがあります。そのためコレステロールは、食事で摂る量の3倍も毎日体内で作られています。仮に食事から摂りすぎたとしても、体内のコレステロールが一定になるように調整され、バランスが保たれます。1日10g程度のバターであれば、その分に含まれるコレステロールの量は21mgほど。あまり気にするほどではありません。
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